私もサラリーマンを経験したことがありますのでよくわかります。
忙しい時は日付が変わるくらいまで働いて、必死で頑張ったのに給料明細を見た時のあの
虚しさ。残業時間がおかしい。それとなく上司に聞いてみると「定時は17時だけれど、残業代が付くのは18時から」とかまったく理解できない回答が返ってきました。
それだけじゃない、百歩譲って(譲れませんけど)18時からとしても残業の合計時間がまったく合わない。それを言うと嫌なら辞めろみたいなことを遠回しに言われる始末。
この国では、8時間を超える労働時間については、通常の時間給よりも高い割合の残業代を受取る権利が法律によって保障されているんです。残業が深夜に及んだり、休日出勤をすればその割合もさらに上がるはずです。しかし、会社は従業員が文句を言わないことをいいことに、残業代を支払っていないだけなんです。
1、8時間を超えた場合・・・1.25倍
2、休日出勤をした場合・・・1.35倍
3、8時間を超えてかつ深夜に及んだ場合・・・1.5倍
4、休日出勤かつ深夜に及んだ場合・・・1.6倍
なお、「深夜」とは地域や時期により若干異なりますが、おおむね22時から5時までをさします。
これは、某大手企業さんが導入して有名になった「年俸制」の会社でも同様です。年俸制の会社では、予め月平均の残業時間を想定し、残業代を併せた額を年俸として支払ってますので、その時間を超え部分につきましては、やはり請求することが可能です。
では、残業代を請求する為に一番重要なものは何か?
それは、残業時間を証明すべきものです。タイムカード、出勤簿、業務報告書等の「ことです。これらが手元になくても、日付と時間や残業の内容といった事実はしっかり記録しておきましょう。会社側の証拠隠滅を防ぐ為にもコピーできるものはしておいた方が安全です。
労働賃金の未払いには前記の残業代金の他にも複数のパターンがあります。
一つには、経営状況が悪化して賃金が遅滞しているパターン。倒産する可能性が高い場合には、労働債権の保全を検討する必要があるので、あらかじめ会社の財産や資産をできる限り把握しておきましょう。
但し、安易に保全処分をすれば会社の倒産時期を前倒しにしてしまう可能性もありますので慎重に対応することが必要です。
二つ目には、経営状況の悪化を通り越して、法律上若しくは事実上倒産して賃金や退職金等が未払いとなっているパターン。
法律上の倒産の場合は、破産法、民事再生法、会社更生法などの根拠法令により態様が異なるため、専門家の助言を受けたうえで、可能な限り債権の回収に努める必要があります。
事実上の倒産の場合は、できるだけ速やかに訴訟手続等の対応をする必要があります。
三つ目には、人事問題や労使間のトラブルがあるパターン
配置転換に伴う給料や労働条件の一方的な引き下げや、勤務態度を理由に、一方的に給料の額を減額したり支払わなかったりするパターン
※残業代や給料の請求権の消滅時効は通常の債権と違いたったの2年で、退職金の請求権も5年しかありません。いつまでも請求できるものではありませんのでご注意ください。 まずは疑問に思われた方は当事務所へお気軽にご相談下さい。